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山形市(山形県)

山形鋳物、
伝統の技と現代の感性と。

2017/04/07

最近気になるのは山形の鋳物。シンプルでモダンなデザイン、日本らしいオリエンタルな雰囲気、重厚感のある姿などで、世界的な注目も高まってきているという。イタリア人以外でははじめてフェラーリを手がけたデザイナーとしても有名な奥山清行氏による鉄瓶が海外で人気と聞いたのも、興味を持つきっかけのひとつとなりました。

900年つづく山形鋳物。
山形鋳物の歴史は深い。はじまりは900年ほど遡る平安時代。源頼義が山形地方にやってきた折、従軍した鋳物師が馬見ヶ崎川の砂と薬師公園近くの土が鋳物に適していることを見つけ、この地にとどまったのがきっかけとされます。また、約400年前には山形城の主、最上義光は薬師公園付近にいた鋳物師17人を一か所に集め、火を扱う者だけを集めた町づくりを行いました。この町は「銅町」と名付けられ、日本で最初の工業団地の役割を果たし、綿々と伝統の技術を受け継いできました。
産地よりも職人の個性が光る山形鋳物。
また、山形鋳物は古くから少量多品種を生産してきたのも特徴。鋳物師一人ひとりが形やしつらえにこだわって、美しい山形鋳物を送り出してきました。「山形鋳物はこれまでずっとそれぞれの工房で独自のやり方を貫いてきたわけで、素材も銅から鉄まで実にさまざま。薄肉で鋳肌が細かいというところは共通していますが、それくらいそれぞれに個性があります。うちならその個性がデザインになるのかな?」。そう語るのは創業110数年の老舗工房「雅山」の四代目、長谷川雅則さんです。三代目のもとに生を受けながらも、美術大学を卒業後は世界の鋳造技術を学ぶためにイタリアへ。新しい技術、刺激を貪欲に自分の力に変えながら、山形鋳物に新しい風を吹き込んできました。
伝統的な技術と、現代的な洗練と。
手に取って見せていただいたのは「SHIZUKU」と名付けられたティーポット。真上から見ると雫の形。輪郭線はそこからやわらかく膨らんで、なんとも言えないころんと愛らしいフォルムを描きます。さらにポット本体と蓋による異素材の組み合わせも印象的。黒く、鈍く光る鉄と、輝く銅の美しいコントラストが心を惹きつけます。「これは唐蓋と呼ばれる、古くから伝わる手法。お洒落でしょう」。伝統的な技術を継承しながら、現代的な洗練を纏う鋳物。代々続く老舗に生まれながら、その場所に立ち止まらないモチベーションは一体どこから?「そもそも昔っから新しいことをやっていくのがうちの伝統。それに私自身、チャレンジが好きなんですよね」。

他にも息子さんと合作という形で鋳物によるスピーカーづくりにも挑戦したというから驚きです。「型取り20年、仕上げ20年、原型のデザイン20年と言われる世界ですから。私なんてまだまだ若手ですよ!」。そう言って笑う横顔は、どこまでもクール。修理しながら長く使える、湯を沸かすとまろやかな味になる、手作りの温かさがある。そんな伝統的な魅力と同時に、現代の空気をおおらかに取り入れていく山形の鋳物。これからもますます目が離せなくなりそうです。

文:白井千遥 写真:志鎌康平

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