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山形市(山形県)

「良酒王国」山形市で
幸せの酒蔵巡り。

2017/04/07

山形空港に降り立ったときから、疾る気持ちが抑えられません。なんといってもこの旅の目的は、ずっと行きたかった山形市の酒蔵巡り。食べるお米はもちろん、独自の酒米もたくさん育まれていて、蔵王の恵みである良質な水が豊富。そんな場所で醸される日本酒とは、いかほど美味か。空港から中心街へと走らせるバスの車窓に流れる澄んだ景色にもまた、期待感を煽られます。

蔵が変わっても、水の味は変わらないように。
まず訪れたのは、江戸の時代から三百年以上つづく『寿虎屋酒造』。蔵の中へと足を踏み入れると、日本酒独特の香りが鼻の奥へ流れ込みます。現在の社長を務める大沼幹雄さんのご案内で、酒米の蒸し工程から、麹や醪の仕込み、搾りなどの一連の工程を見学させていただきます。「酒造りは、極めてアナログの世界。温度、湿度、米の出来。環境は毎年変わります。材料を仕込みさえすれば酒の形にはなりますが、いいものを造るには人間の知恵と五感が欠かせません」、そう言って出来てたの酒のコップの注いでくれました。純米吟醸、霞城寿。穏やかな吟香の中に味とコクが広がります。「美味しいでしょう? 蔵王山系の伏流水の地下水で仕込んでいます。何度か蔵を移転しているのですが、水の味だけは変わらないように場所を選んできました」と胸を張りました。
真面目に酒を造ること、それだけ。
つづいては、「羽陽男山」の名で全国に知られる『男山酒造』。専務の尾原俊之さんに蔵を見学させていただいた後、「酒造りで一番こだわるのはどんなところですか?」と訊くと、こんな答えが返ってきました。「真面目に造ること、それだけです。酒は所詮主役ではありません。食事や会話の引き立て役としてふさわしい味になるようにしっかり仕込んでいます」。『男山酒造』の酒がすっきりとした辛口で醸される理由のひとつを、蔵の外で流されている水で確かめることができます。地下水そのままを流しているため「自己責任で」と立て札がされていますが、これを体験できるのも酒蔵見学ならでは。いざ、と口に含めば、意外にもやや硬めでしょうか? 「酒造りでは比較的珍しい硬度の高い水を使っています。ミネラルも豊富で、この水のおかげで独特の辛口になっています。
もう一杯飲みたくなる、目標はそんな酒。
住宅が並ぶ細い道を抜けると姿を表す『秀鳳酒造』もまた、人気の酒蔵のひとつ。訪れた時間はちょうど小学生たちの下校時間。近所に住む子どもたちが元気良く「こんにちは!」と、通り過ぎていきます。街に受け入れてもらえたようで、なんだかちょっと幸せな気持ち。さて蔵はと言えば、歴史を感じさせるノスタルジックな作りで、タイムスリップをしたかのような錯覚に陥れます。「うちは地下水ではないのですが、水質はやわらかで、酒造りに最適。蔵王の恵みに感謝しています」とにこやかに語るのは、2年前に実家であるここへ帰ってきた武田秀和さん。「うまみと香りが膨らんで、後味のキレが増す。そしてまた一杯飲みたくなる、そんな酒を造ることがこれからの夢です」と瞳を輝かせるのが印象的でした。

さて、朝からはじまった酒蔵巡りもいよいよ終わりに。最後はご当地の旨いものと一緒に旅の余韻に浸りたい……。そこでやってきたのは、山形牛と地酒を楽しめるお店「くろげ」。肉と日本酒? と訝るなかれ。豊かに霜が降った肉の甘みを、すっきりとした山形の辛口が心地よく流して、肉も酒も進む進む。ここまで日本酒好きの心をつかむ山形市、恐るべし。「お姉さん、もう一本!」とお銚子を掲げながら、酔い、もとい、宵は深まっていくのでした。

文:白井千遥 写真:志鎌康平

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