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松山市(愛媛県)

思わずのぼせてしまうほど、
温泉とアートにゆったり浸りました。

2018/01/08

「日本最古の温泉」といわれる道後温泉がある道後エリア。2017年9月には、新しい外湯である「道後温泉別館 飛鳥乃湯泉(あすかのゆ)」が誕生し、話題となっています。古き良き時代の趣はそのままに、新しい風が吹き始めている人気の温泉街の今を巡ります。

ドン、ドン、ドドン――。早朝6時、道後温泉本館のてっぺん、赤いぎやまんガラスが目をひく「振鷺閣(しんろかく)」から、開湯を知らせる刻太鼓の音が温泉街へと響きます。これが道後温泉の1日の始まりの合図。列を成した人々は観光客なのかな…と思いきや、多くは長年通い続けているツウな地元民なのだとか。神話の時代から現代まで、多くの人が足を運ぶ道後温泉は、市民から愛されている「庶民の温泉」でもあるのです。

まずは道後温泉本館を探検、堪能。
木製の下駄箱に靴を入れ、昔ながらの改札口を通過して、いざ浴場へ!浴室は神(かみ)の湯と霊(たま)の湯の2種類あり、入浴プランにより大広間や個室の休憩室も利用可能。観光客に人気の2階の大広間では、湯あがりの入浴客が気ままに寛ぎながら、お茶とお菓子をいただいています。シュンシュンと沸く茶釜は、なんと炭火がくべられています。このお湯で淹れたお茶を手に、ゆるりとした時間を。「明治から変わらないおもてなしスタイルです。ここはスタッフとの会話を楽しむ場でもありますよ」と道後温泉事務所の柴田さん。その日の気候に合わせて、お茶を淹れるタイミングを変えているというのも嬉しい限り。

ひと休みしたら、館内の探検!傾斜地に建っている本館は増築、改築を重ねており、まるで迷路のような構造。階段を上がって、下りたら「ここはどこ?」「何階?」…そんな錯覚も楽しんでください。そして館内外のあちこちに、温泉が渦を巻いて沸き起こる様をデザインしたといわれる「湯玉」模様や、道後温泉を発見したという伝説のシラサギの姿が。可愛いものからかっこいいものまで、思わずカメラを構えたくなります。

日本で唯一の皇室専用の浴室「又新殿(ゆうしんでん)」も見学しました。とても豪華な造りで、意匠の一つひとつから歴史や職人技を感じることができます。温泉に入りに来たはずが、歴史に思いを馳せる…そんなひと時もいいものです。
この道後温泉本館は、平成30年秋以降に保存修理工事が予定されています。「閉館はせず、営業しながら工事しますよ」と柴田さん。工事風景を見守りながら、湯に浸かるのもまた風情がありそうです。

待望の外湯「道後温泉別館 飛鳥乃湯泉」の誕生
道後温泉本館の風情を身をもって感じたところで、ぜひ併せて訪れてほしい場所があります。2017年9月、飛鳥時代をイメージした湯屋「道後温泉別館 飛鳥乃湯泉」が誕生しました。館内エントランスからどーんと見える湯玉をはじめ、古代の道後を思わせるモチーフを、愛媛の伝統工芸で表現するデザインで館内を彩っています。

例えば、休憩室の行燈照明は伊予竹細工でできており、柔らかな光が館内に灯ります。「こんな伝統工芸もあったんだなぁ」と、私も愛媛の魅力を発見することができました。館内着としての浴衣や湯帳もこだわりがいっぱい。様々なデザインと湯を楽しみながら、太古の道後に浸ることができますよ。12月には中庭に「椿の森」が完成し、100本を超える松山市の花である椿が約20品種ほど植えられました。大広間休憩室から癒しの景色を眺めることができるので、本館とはまた違った湯情緒を味わいたいですね。

アートとの融合で進化する道後を感じる。
伝統工芸とデザインで魅せる飛鳥乃湯泉。このように、道後界隈はアートスポットとしても人気が高まってきています。2014年、本館改築120年を記念に始まった「道後オンセナート2014」では、国内外のアーティストの芸術作品と歴史ある道後エリアがコラボレーションしました。そこから、伝統と歴史を感じつつアートを楽しむ、新しい道後のチャレンジが続いています。現在プレオープン期間中の「道後オンセナート2018」は4年ぶりとなる大祭として話題に。〈オマージュ〉(賛歌)をキーワードに、さまざまなアーティストが道後ならではの作品を展開しています。そのプロジェクトの一つに、ホテルの一室をアーティストが作品にしてしまうという取り組みがあります。ブックデザイナー祖父江慎氏が手がけた「道後舘」の一室は、小説「坊っちやん」が読める部屋本になっていました。「小説一冊まるごとって驚きでしょう?こんなところにもあるんですよ!」。支配人の井藤さんがバッと手にとったのはカーテン。まさに小説の世界に浸っているような不思議な感覚です。見学者限定で配布される「道後舘新聞『坊っちやん』」を目で追いながら、部屋本を読破してみるのも面白いかも。
各旅館、ホテルで全く趣の違った部屋が楽しめるので、ぜひ見学してみましょう。

道後舘/祖父江慎「部屋本坊っちやん」

道後舘では館内で利用できる喫茶券がつく

オールドイングランド道後山の手ホテル/宇野亞喜良「恋愛辞典」

そして忘れちゃならないソウルフード
温泉やアートを楽しんだ後は、やっぱりグルメ。いい感じにおなかも減っています。松山グルメの特徴といえば、うどんもラーメンもちらし寿司もちょっぴり甘めの味付け。中でも、アルミのお鍋で提供する「鍋焼きうどん」は、1年を通して愛されている松山市民のソウルフード。トッピングは甘く味付けされた牛肉やアゲ、昆布やかつおぶし、煮干しでとダシをとったさっぱりとしたツユとやわらかな麺が合わさった優しい味わいです。お稲荷さんやおでん(これも年中あるお店が多いのです)をセットで頂くとなおさらグー。

おなかを満たしたら、ハイカラ通り(道後商店街)の散策を。お土産はもちろんですが、銘菓などのスイーツも誘惑します。やっぱり甘いものは別腹!おしゃれなカフェでケーキと柑橘のジェラートをいただきました。ほんと別腹ですね。

いかがだったでしょうか。道後エリアの歴史と文化、そして新しい魅力が少しでも伝わると幸いです。最後には「楽しかったー!」と思わず言ってしまうほど「何度行ってもおもしろい場所」と自信を持っておすすめします。観光地としてだけではなく、散歩がてら足湯しに行ったり、商店街を散策したりと、松山市民も足しげく通う場所は訪れる人みんなを癒してくれます。ぜひ、その魅力に浸ってください。

文:菅野彩 写真:市岡祐次郎

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